もぐおのかばん

もぐおがいろいろ吐露します

道楽の栗拾いじゃなくて ガチの栗拾い

寒い...

急に寒くなってストーブを出してきたが、もう冬か?

たしかまだ10月だったはず。

冬が来る前に、寒さ対策と心の準備が必要や。

半世紀以上生きてきた者には、準備不足は死を招く。

「秋はどこ行ったんや」と嘆く。

 

秋といえば「栗拾い」。

今は、栗拾いといえば、栗園とかで入園料払って楽しむものだけれど、

40年以上前の僕の家では、家族で自分の家の山へ栗拾いに出かけていた。

一家にひと山、栗が取れる山をどこの家も持っていた。

 

朝起きて、長袖長ズボン、そして長靴を装着。

じいちゃんとばあちゃん、そして母ちゃん、僕と弟。

そして親戚のおじさんが栗拾いに行くことになった。

家から約一キロ、じいちゃんの運転するクローラ(キャタピラの上に荷台が付いた

運搬車両)に乗って、ドリフト族が喜びそうな急な山道を登って行った。

速度が遅いわりにめっちゃ揺れるので、山についた時点で結構ふらふらになった。

 

到着すると、山の上の方まで登ったので見晴らしがよい。

「ええ、景色やなあ」と山しかない景色に見とれていると、

バケツとせんば(長いトングをうちではこう呼んでいた)を渡されて、

「早よ、行くぞ!マムシに気を付けぇよ。」

そう言って、ばあちゃんがズンズンと栗山へ入っていった。

ばあちゃんは手拭いをほっかむりして、もんぺに地下足袋、そして作業エプロン

右手にせんばを持ち、背中にかごをしょって、ひとりだけガチ装備だった。

僕もばあちゃんについて入っていった。

 

栗山は栗の木が等間隔に並んでいて、山の中に一面、その下にもう一面あった。

イガグリはそこら中に数えきれないくらい落ちていた。

イガグリの端を左足で踏んで押さえて、右足で皮をむくように踏む。

すると中から栗が出てくる。

大きい栗はテンションが上がるけど、たまに虫に食われた栗が出てくるときがある。

それをせんばではさんで拾い、バケツに入れる。

この作業を下を向いたまま、黙々と続けた。

 

栗拾いに来ると決まってある現象が起きた。

それは、親戚のおじさんが腹を壊すということだった。

毎回、紙を探し回っていた。

その姿を見て、本屋に来たら腹壊す人のことをいつも思い出していた。

 

2時間ほどして、「帰るぞー」という声が聞こえた。

バケツは栗でいっぱいで重たくなっていた。

みんなのところへ集まると、弟がいないのに気が付いた。

栗山の中を隅から隅までさがしたけどいない。

「山から落ちたん違うか?」

そんなことを言っていると、

「おったぞー」

という声が聞こえた。

弟は退屈して、栗山の入り口の乗ってきたクローラの上で寝ていたのだった。

 

...そんなこともあったなと、秋になると思い出す。

今は、栗拾いもしなくなって、栗山のあった場所も忘れてしまった。

さびしいもんやな...

 

そういえば、栗拾いした後、数週間ずっと栗ご飯が飽きるまで続いた。

ばあちゃんは、山のようにゆでた栗を前にご満悦だった...