渡る歩行者に罪はなし
まったく寒い世の中になったものだ。
キンキンに冷えてやがる。
いや、ビールでも気温でもなくて心が...
なんで止まってあげないんだろねぇ、横断歩道の手前で歩行者が
ずっと立ち止まっているのに。
私は止まりましたよ。
だけどねぇ反対側の車線を走る車が全然止まらねぇ。
すれ違う車全部が歩行者を気にかけることなくビュンビュンスピード上げて
通り過ぎやがる。
何台も何台も止まってくれない時間が続くと、ホントに気まずいですよ。
たったの10秒が何時間くらいたった感覚に思えてきてね。
背後にはズラ~ッと後続車。
横断歩道の前で待っている人は、申し訳ない顔でこっちを見てくるし
対向車は全然止まる気配すらなし...めちゃくちゃピ~ンチ。
しかし私はね、もう意地でも歩行者を渡らせると腹をくくったんですよ。
歩行者にそんな顔させる、止まらない対向車を絶対止めてやると!
とりあえず対向車をジーっとにらみつけてやったんですよ。
しかし、そもそもこっち見てない。自分が早く行くことしか考えてないから
みんなシュンシュン通り過ぎていって効果なんてありゃしない。
だんだんイラッとしてきて、このままでは埒が明かないと思って
最終手段「パッシング(ライトがピカッと光るヤツ)」
をお見舞いしてやったんですよ。
ヘッドライトのレバーを前後にカチャカチャと何度も動かしてね。
でもね、それでも止まらんのですよ、対向車が...
こっち見て「なんやこいつ」みたいな顔して通り過ぎていくんですわ。
こんなに絶望感を味わうことってある~!?
そうこうしてるまに、反対車線の車の流れが途切れて、チャンスとばかりに
歩行者が横断歩道を渡っていったんですよ。
途中でね、私に向かって会釈をしてくれて、私は「大丈夫ですよー」と
何事もなかったかのように右手をあげたんですよ。
ホントは全然大丈夫じゃなかったんですけどね...
横断歩道で止まってあげたのは良かった。
しかし対向車が止まってくれず、だんだんと腹が立ってきて挙句の果てに
パッシングの嵐。しかも対向車止まらず...
めちゃくちゃカッコ悪いですわ。
もうアクセル全開でその場から早く逃げたかったけれど、なんとか平静を装って
気持ちちょっとゆっくり目に運転して帰ったんですわ。
頭の中はやり場のない怒りでいっぱいで、今だにず~っとモヤモヤしたまま。
憤懣やるかたないとはこういうことを言うんですな。
「ちくしょう...
余裕のない小者共め...絶対懲りないからな。
また横断歩道で待っている歩行者がいたら止まって、
これが余裕のある人間やいうとこ見したる!」
師走の風がよりいっそう身にしみるな...
よい子は不用意にパッシングとか対向車に浴びせたらダメだよ。