もぐおのかばん

もぐおがいろいろ吐露します

あなたの知らない不思議な話~帰ってきた猫~

 

お題「不思議な話」

 

 

 

「猫は自分の死期を悟ったら飼い主の前から姿を消す」

という説がある。

 

家で飼っていたトラ猫の「とらたろう」も体調が悪くてずっと臥せっていた。

ある日、外に出たいというので庭へ出してやった。

家の周りでおとなしくしていたので大丈夫だろうと目を離したら、

いつの間にかいなくなってしまった。

 

私は目を離したことに後悔した。

何度も近所を探し回ったけれど、「とらたろう」は見つからなかった。

待てども待てども「とらたろう」は帰ってこなかった。

「「とらたろう」は死期を悟っていなくなったんだろう」と思ってあきらめた。

 

「とらたろう」がいなくなって、1週間が過ぎた。

その日の夕方、いつもの日課の犬の散歩に出かけた。

山ぎわに流れる小さな川沿いの道をいつものように愛犬と歩いていた。

 

すると川の上流から何か流れてくるのが見えた。

「また誰かゴミを川に捨てたな」と思って川岸に近づいて流れてきたものを見た。

なんと、それは茶色の猫だった。

よく見ると首に見覚えのある首輪....いなくなった猫「とらたろう」に見えた。

 

とにかく川から上げねば!

ちょうど「とらたろう」は石と石の間に挟まれて流れずに止まった。

いったん犬を連れて帰りタオルとダンボールの箱を持って再び戻ることにした。

 

全速力で戻り、川に入って「とらたろう」へと近づいた。

やっぱり「とらたろう」だった。

水から上げて岸へと戻ってタオルでくるんでやった。

変わり果てた姿に言葉も出ず、箱の中に寝かせてやった。

 

家に「とらたろう」を連れて帰る道すがら

一言だけ声をかけてやった

「よく帰ってきたな....」

 

偶然だっただけかもしれんが、

「実は見つけてほしかった」

という「とらたろう」の思いが起こしたものだと思うことにしている。

でないと、やるせない。

 

 

しかし、川の上流から飼っていた猫が流れてくるなんていうシチュエーションは

心臓に悪すぎ....