もぐおのかばん

もぐおがいろいろ吐露します

ゲームで世界を救っていたら、自分のリアルの世界のほうが壊滅してた話

 

 

雨がよく降る。

またどこかで災害が起きるのだろうか?

あんな思いをするのは二度と御免だ。

というのも、14年前に自分の住んでいる町が台風による水害でやられたからだ。

 

大雨による大水で川が氾濫して川の近くの家屋や商店街、役場までもが

水没した。

道路に川の水が溢れ、多くの車が流された。

避難の最中に流されるなどの人的被害も20件発生した。

そこらかしこで土砂崩れが起きて、空からの大量の水の爆撃で

大げさじゃなくて、本当に町が壊滅してしまった。

 

その日は朝からずっと叩きつけるような雨が続いていた。

昼からずっとPS2のドラゴンクエストⅧをやってたが、雨の量と音が

ずっと気になっていた。

家の外を見ると、裏の溝が溢れて家の周りを水が流れて川になっていた。

それを見た途端、ヤバイ状況だとやっと気が付いた。

 

夕方、近くに住む消防団の仲間から連絡があって、

「水があふれているので救援に来てほしい」という。

すぐに向かおうとするけど、自分の家の駐車場の入り口も水が溢れていて

しかも土がえぐれてしまって穴が開いて車が出せない。

仕方なく走って行くことにした。

 

なんとか着いたが、溝からの水の勢いが激しすぎて手に負えない。

土嚢も流されて意味がない。

まだ大丈夫そうなので様子見ということにして、この後仲間の軽トラに

乗せてもらって他の被害場所の手伝いに行った。

 

そこも水の勢いに苦戦していた。土嚢を突っ込んで水の勢いを弱める。

なんとか処置が終わって全員公民館で待機することになった。

団長のトランシーバーには災害の状況の連絡が逐一入ってきていた。

どこが崩れたとか、どこで人が流されたとか....状況は悪化するばかりだった。

 

雨は勢いを弱めることなく無情に叩きつけてくる。

「あかん、どうしようもできんわ....」誰かが吐き捨てるように言った。

全員、自然に対する無力さでいっぱいだった。

 

公民館の中には避難している人が何人かいた。

そこには中学の時の同級生がいた。

自分に気が付いたかどうか知らないが、目が合って会釈だけした。

 

それからすぐに停電が起きて、発動機でライトを灯した。発動機はうるさかった。

避難してる人が寝れないなと思っていたら、近くのゴルフ場がホテルに泊めてくれる

という連絡があった。「こういう時の人の情けは沁みるなぁ」と感動した。

夜遅くになってやっと雨足は弱まってきた。

 

その後解散して家に帰る途中、軽トラで少し町を見て回ることにした。

消えたままの信号、歩道には流されて乗り上げた車や流木、そして驚いたのは

会社の資材置き場の大きな鉄の門が流されて、道路をふさいでしまっていた。

もう現実の世界と思えんかった、ゲームの世界や!

家の壁も道路もすべてが泥にまみれて、一面茶色の世界。

あまり言葉も交わさず仲間と別れた。

 

次の日会社に行こうとしたが、どうにも道が土砂でふさがってて行けない。

違うルートで行こうとしたけど、やっぱり土砂が崩れて通れない。

1つだけ行けそうなルートがあったが1時間ぐらいかかる。

 

念のため、会社にだれかいるか電話してみると事務所の女の人が電話に出た。

「今日は臨時休業で会社は被害なし」と教えてくれた。

 

「やっぱり休みかぁ....」と思ったのと同時に、事務所の女の人はどうやって

会社に行ったんだろうと不思議に思った。

 

やっぱり1時間かかるルートで行ったのだろうか?

それとも後でどこかにあると聞いた、せまくて険しい舗装してない山道か....

 

 

そんなことを雨が強く降る日は思い出してしまう。

 

 

ほんまに

「あんな思いをするのは二度と御免や!

 

              見るのも聞くのもな....」