もぐおのかばん

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行きつけの古書店が閉店

行きつけの古書店が店を閉めるという。

岡山県にある古書店万歩書店の津山店。

26年間の歴史に幕が下ろされる。

 

久しぶりに寄ってみようと足を運んでみた。

店の前に、いつも見ない「大売り出し」ののぼりと、普段より少し多いお客さんの数。

いつもと違う雰囲気の店の前に立つと、そこには、「閉店のおしらせ」の張り紙。

馴染みの店が閉店してしまうことは何度かあったけど、毎回ショックや!

自分の心のよりどころがなくなってしまう喪失感でいっぱいだった。

 

「本」とでっかい看板が店の外にかかげてあった。

その看板につられて店に入ったのが始まりだった。

それから15年間、月に一度くらいのペースで通わせてもらっていた。

漫画、小説、写真集、歴史書、ゲーム、音楽CD、映画のDVDと数多くの

ジャンルの商品が所狭しと並んでいた。

目移りしながら、何時間も店内をうろついていたのを思い出す。

オトナファミという雑誌にお薦めの漫画の特集があって、それを参考にして

探しては買って読んでいた時が懐かしい。

 

数年前から、昭和のレトロコミックも数多く扱うようになって

そっち目当てにも通うようになった。

松本零士や、石ノ森章太郎や、永井豪とかめっちゃ読んだ。

去年ぐらいからレトロゲームも置くようになった矢先の閉店。

もう、この店で昭和レトロに浸れなくなる...寂しいものや。

 

いまは、漫画も、ゲームも、音楽も、映画も全部ネット配信になってしまった。

紙やディスクの媒体がデータだけでやり取りするから、中古商品が減ってしまう。

買い取りする商品がないということは、古書店としては死活問題だろう。

「ほんまに、いらんことしやがって!」てなるわ。

 

ネット配信は、いちいち店に行かなくてもいいし、売り切れもない。

何より欲しいときにすぐ手に入る。

「便利な世の中になったな」と思うけれども、何か味気なくてたまらん。

まあ、パッケージやディスクといった現物がないということもあるけれど、

データだけだったら「いつかは消える」と心のどこかで思ってしまって愛着がわかん。

それに、掘り出し物を見つけられん。

あの、思ってもいなかったものを発見した時の驚きと高揚感は言葉では表せられん。

リアル店舗が減っていく現状が誠に残念至極。

時代錯誤といわれるかもしれないが...

 

十店舗以上あった万歩書店も三店舗になってしまった。

津山店は来月の終わりまで営業している。

まだ、ひと月以上ある。

その間に、もう一度だけ店の雰囲気に浸ってくるとしよう。

 

諸行無常、生生流転、現実はいつも厳しい。

適応できなければ滅びるだけ。そこに情というものが入る余地はない。

あーいやだ、いやだ...