工場勤務は理不尽~偏屈な男 T内~
偏屈
「ひねくれていること」
偏屈ジジイとか世の中にはおるけど、自分の勤める会社にも偏屈なヤツがいた。
こっちは良かれと思って言うてるのにいちいち反論するからめんどくさい。
5年も一緒の部署におるとこっちの意見に賛成することなど期待せんように
なってきて、いかに変な答えを返してくるかを期待するようになった。
そもそも偏屈な人というのは、意見聞くと負けた気になるんかな?
それとも、今まで生きてきた経験が邪魔するんかな?
ただ単に、ホンマに他人と考え方が違うだけなんかなと思ってしまう。
そんな偏屈社員T内の話。
T内は入社した当初(高卒入社だから18歳)から
何を言っても「そうですね」とは言わなかった。
いつも何かと言い訳か反論を口にしていた。
会社ではT内とこんな感じで会話をしていた。
<ケース1 衣替え>
私「長袖の作業服は暑いやろ?半袖の作業服にしたら涼しいで」
T内「知ってますよ」
私「ほんなら半袖にしたらええやん」
T内「長袖でいいです」
私「なんで?もう夏やで」
T内「暑いのは慣れてます」
私「慣れてんのか、ふーーーーん」
<ケース2 休み時間>
私「休憩場所、人が少ないんやから、そんなコンクリートの上に座らんと
ベンチに座ったらええがな。
T内「タバコの匂いが嫌いなんです」
私「誰も吸うてへんがな」
T内「来て吸うかもしれません」
私「来たら移動したらええやん」
T内「また移動するのめんどくさいからいいです」
私「クッ.....」
<ケース3 仕事の週の最終日>
私「今日は定時で帰れるようにしようや」
T内「無理ですよ」
私「いや、ギリギリいける」
T内「どうせ終わっても他の仕事させられるだけですよ」
私「いや今日は金曜日やから無い」
T内「わかりませんよ」
私「それでも定時で終われそうやから一応がんばろうや」
T内「無駄ですよ」
私「ムキーーーーー!」
こういう調子だったので、「こう言うヤツなんだ」と周りはあきらめた。
しかし人の忠告を聞かな過ぎたT内はこの夏痛い目を見る.....
<ケース4 熱中症対策>
私「暑いなあ、エアコンをガンガンかけんと寝れんなあ」
T内「エアコンなんかかけてないですよ」
私「はぁなんでや?」
T内「エアコン無いです」
私「無いって、こんなに暑いのに熱中症なるがな!」
T内「大丈夫です」
私「アホかっ扇風機くらいかけて寝ろや!」
T内「扇風機は生ぬるい風が来るだけだから無駄です」
私「フギャーーーーー!」
熱帯夜は連日続いた。
ほどなくしてT内がめずらしく仕事を休んだ。
同僚が聞いた話では、母親から会社に朝連絡が入ってきたという。
母親からの連絡によると、T内は夜中に熱中症で動けなくなってしまった。
家族が気が付いてすぐに救急車で運ばれた。
T内はしばらくの間休むことになった。
周りからの人達は
「あれほど気を付けろって言うたのに.....」
「人の言うこと全然聞かんからや、アホやのう.....」
みんな同じ忠告をしていたのだろう、T内の自業自得とあきれた。
そしてT内が仕事復帰した。
みんなT内の性格は知っているので
「どうしょうもないやっちゃなあ」
と迎え入れた。
私「T内君、もう懲りたやろ
これでエアコン買う気になったか?」
T内「なりませんよ」
私「なんで?また熱中症なるやろ!」
T内「.....あの日は暑すぎたんですよ
今度は氷枕して寝るから大丈夫です!」
私「グギャーーーーー!」
「人の忠告は聞いたらアカン」
そういうしきたりでもあるんか?お前の家は⁈
偏屈にもほどがあるわ.....